零戦五二型『甲』は、三菱重工のみならず中島飛行機でも生産されていました。三菱製と同様に五二型のドラム弾倉(マガジン)式であった九九式20mm二号機銃三型を、五二型甲ではベルト給弾式の四型に改め125発の弾薬を装填できるように更新されます。この四型銃更新にともない主翼前縁より突出した台形のカバーが追加され、また、主翼下部にドラムマガジンが主翼に収まらないために涙滴形のバルジが設けられていましたが、ベルト給弾式に改められたため、バルジは取り払われました。これらが無印五二型と五二型甲との外見上の違いとなります。
また、三菱製と中島製との違いとして、推力式単排気管の排出口付近に当てられた耐熱板の長さが違い、中島製は三菱製より長いのが特徴です。さらに中島製五二型甲ではプロペラガバナーの変更に伴い大型化したスピナー、懸架方式の異なる増槽を装備する点も三菱製五二型甲と異なります。